現実を「非現実の現実」にするドラマ撮影の実情

現在の日本では年間を通して、100本近くのテレビドラマ作品が製作され、放映されており、日本中のあちこちでロケ撮影が行われています。
もちろん実際の街中などや実在する建物を利用して撮影を行なっているために、時には自分たちの見慣れた日常の景色がドラマに登場することもあれば、全く違う場所のようにして目にとまることもあります。

現実の世界を用い、その中でもいかに非現実の現実を再構築しているのか、という部分も、テレビドラマを鑑賞する上での一つの楽しみと言えるかもしれません。

いわゆる2時間ドラマなどでは旅情モノなどが多く、実際の観光地や旅館などとタイアップを計りながら、それをドラマの中に取り入れていくことによって、非現実の存在である登場人物たちに、強い現実感を与えています。
また、こうしたものとは違い、街中や日常にあふれる風景を巧みに切り取って、再構築することにより、現実感がある非現実の生活空間を作り出すこともあります。

例えば、特定の街並みを想定させる設定や、シンボリックな建造物をドラマの序盤やポイントで登場させておき、実際のその街並みの雰囲気を持った全く別の場所を探し出し、そうしたところで撮影を行ういうことは、よく用いられる手法になります。

時代劇や海外の街並み廃墟や工場など、特殊な設定が用いられるドラマなどにおいては、なかなか日常の風景には登場しないために、屋外セットが組まれた野外スタジオなどが利用されることもあります。

また、室内や建造物などの撮影の場合には、実際の建物が使われる場合もありますが、全く別の建物を利用して撮影されることもあります。
ホテルや劇場などについては、比較的に撮影が行いやすいために、実際の建物がそのままの設定で利用されることが多いのですが、警察署や空港、国会議事堂などについては、撮影の許可が下りないためにほとんどがセットが組まれたり、全く別の建物を、それらしく見えるように看板を付け替えたり、パトカーなどを配置したりして撮影をしているのです。

空港もまた、様々な制約によって撮影の許可が下りない場所の一つになります。
ドラマにおける空港のシーンの多くは、東京都の江東区にあるテレコムセンターが用いられることが多く、大きく抜けた円形のアトリウムなどは、象徴的なシーンを印象付けます。

このように、現実を用いて非現実の現実を再現するために、様々なロケ地などを利用しているわけですが、これをただ撮影をしただけでは、やはりどうしても現実感に欠けてしまいます。
そうした状況を劇的に変えていくものが、エキストラの役者の効力になります。
舞台にエキストラが配置され、綿密な計画に沿って自然の演技を行っているからこそ、それが非現実の現実化を引き起こし、画面に映し出される役者を引き立たせ、かつ、それがリアルであると感じることができるのです。

日常の背景を映し出すシーンや、目の前で起きた事件や事故をが実際に起きているように感じさせるシーンなどは、まさにエキストラの役者の本領の発揮と言えます。
たとえば、刑事ドラマなどで逃亡する犯人を刑事が追跡して追いかけるシーンなどでは、絶妙に身をかわしたり、驚いたりするリアクションを取るエキストラがいなければ、実に平坦でつまらないものになってしまうでしょう。